Cityかまがや104号  鎌ケ谷の自然を訪ねて 103回 二つのモニュメント  写真と文 秋山秀一  

 分水嶺(界)モニュメント「雨の三叉路」が「オンリーワンのまち」第1号に認定されました。  10月15日発行の「広報かまがや」、そのトップページに、こんな記事が載っていた。  何となく歌のタイトルに出てきそうなこの「雨の三叉路」とは?  そしてまた、鎌ケ谷市内を東経140度の経線が通っていることは知っていたが、 「正しくはどの辺りを通っているのかな〜?」  と、気になっていた。  そんな疑問に答えてくれるかのように、東経140度線が鎌ケ谷市内にひかれたというではないか。  こりゃ、ありがたい。  ということで、今回の「鎌ケ谷の自然を訪ねて」は、この二つのモニュメントを訪ねることに…。

 今回も東京からやってきたHさん、それに市内在住のMさんと一緒に、東武鎌ケ谷駅を出発点に歩き始めた。  船取線を越えて、ちばコープ先を左折、一旦下った後、坂道を上っていく。左手に広がる畑一帯が、いわゆる、「ホートンの法則」でいうところの、一次の谷。雨が降った時だけ水が流れる、谷の始まりである。ここに降った雨は、最終的には江戸川に流入し、東京湾へと流れていく。

「ずいぶん高さありますね」  坂を上りきったところで、振り返って、Hさんがそう言った。 「この辺りの地名は丸山っていうんだね。高くなっているから…?」 「消防署の先辺り、右京塚交差点付近が一番高いんじゃないかな」 「そういえば、あの通りの先、下ってますね」  そんな会話の後、 「ふだん車で通っていると気づかないけど、歩いてみるとよくわかりますね。ちがうんですね。」  と、Mさんが言った。

 北総台地の最上流部に位置している鎌ケ谷市内に、降った雨が手賀沼、印旛沼、そして江戸川流域の三方向へと流れていく分水嶺(界)がある。  そのモニュメント「雨の三叉路」は、道路を渡って、ちょっと行った先の左手、「まなびぃプラザ」の前にあった。  高さ70p、石を組み合わせたピラミッド形の、モニュメント。これは、市制40周年を記念して、《分水嶺モニュメントを創る会》の方々が、集めた寄付金をもとに作成して市に寄贈したもので、 「このモニュメントを建設し、分水嶺(界)を知っていただき、併せて、川の水をきれいにする努力をしていただきたい」  という願いが込められているとのこと。いい話である。ということは、最上流部に生活する市民一人ひとりの責任として、下流の市への迷惑を最小限に抑え、川の水を汚さない最大限の努力が求められている、ということなのである。

 最近、自然の地形や地質に着目した「ジオパーク」がしばしば話題になっている。世界レベルのそういったものにはちょっと及ばないかもしれないが、これは、もう鎌ケ谷の立派な自然遺産といえるものなのである。  記念の写真を撮ってから、尾根道、そして谷、そんな微地形を確認しながら鎌ケ谷の道を歩く。 「向こう、下がってますね」 「こんなに大きなキンモクセイ見たことないですね」  そんな会話を楽しみながら、市役所へ。
 目的は、市役所の屋上。 「屋上に上れるんですか」 「上れます」  屋上に上って、筑波山や東京スカイツリーの眺望を楽しんでから、 新鎌ケ谷駅前へ向かった。  東経140度の位置を示す線は、北総鉄道の高架線に直交するように、太くはっきりと描かれていた。  ロンドン郊外のグリニッジから東へ140度、日本の標準時を示す兵庫県の明石から東へ5度、東経140度の経線が、この鎌ケ谷市内を通っているのである。これまた、ちょっといい話である。可愛らしい説明パネルもいい。 (旅行作家・大学教授・旅楽舎代表)

※秋山先生の講座  10月から「NHK文化センター」ユーカリが丘教室で第4金曜日「世界遺産を旅する」開講中。 ▲分水嶺(界)モニュメント「雨の三叉路」と記念の写真を