Cityかまがや107号 インタビュー

ドルチア オーナーパティシエ 木村 修さん  どんな世界でも最後は「心」〜

ぷろふぃーる

木村修(きむら・おさむ)。1942年青森県生まれ。

 13年間の修行を経て、28歳の1970年11月八幡に「ドルチア」をオープン。3年後スイスに研修に出かけるなど、世界各地を回る。若い頃から、JAPANケーキショー技術金賞など、常に優秀な成績を納め、スイス国立製菓学校で講師を務めたこともある。 20年程前は、堺正章や所ジョージの番組に生出演。NHKの「地域に貢献するケーキ屋さん」、「花まるマーケット」等に紹介されたこともある。 沖縄サミットでは世界のVIPにお菓子を提供。
 現在別ブランドの「東京洋菓子倶楽部」を含めて12店舗を展開。東武鎌ケ谷駅前に「ドルチア鎌ケ谷店」。 そのほか、宮内庁、病院、JALANA国際線のファーストビジネスクラスの機内サービスにトリフ・プラリネを提供。また2008年には東金市に建坪250坪のセントラル工場を建設。血液型O型。

■ 15歳で上京 ■

―社長さんでも、現場でお菓子作りをしておられるのですか。

 商品開発は、私ひとりでやっています。浦安店は2階がパーティー会場になっているので、パーティー企画もやります。 父から「器用さ」をもらったんでしょうか。それに甘いもの大好きだし、50年以上も毎日試食しているのに、健康診断でも引っかからないんですよ。

―この世界へのきっかけは?

 親父の倒産ですね。青森で父はりんごを売る仕事をしてました。北海道に運ぶ途中、嵐に合い、命は助かりましたけどりんごを棄てることに。
 中学校の吹奏楽クラブでクラリネットのソロをやっていて、県大会で優勝したんです。だからいろいろな高校から声がかかりました。でも三度のご飯は食べさせてくれる、ふろにもはいれる、服は貸与だし、技術は身につくし…。ブラスバンドの連中が「がんばれよ」って駅まで見送ってくれて。母はそっと影から。そんな感じで15歳、ひとりで上京してきました。
 師匠は先生を専門にしている人で、いつもくっついて歩いていました。あるときデパートの宝石売り場を見ているので、プレゼントを買うのかと思っていたら、デザインのヒントを見つけていたんです。10年修行後3年間違う店に行かされて、季節ごとの新商品を色々作りました。その後自分の店を持つことになります。

■ 世界を回る ■

―「ドルチア」の意味は?

 フランス語で、世界で初めてのお菓子を「ドルチア」と言うんです。どんなお菓子かというと、プラリネの原型ですが、蜂蜜とナッツをドッキングさせたものです。

―スイスの製菓学校の講師をなさっていたと言うことですが。

 スイスでは自分が3年間研修。スイスでも教えましたが、日本国内も8年間教えに歩きました。 チョコレートは貴族階級の高貴な食べ物で、嫁ぐ時チョコレートとスパイスを持たせる風習もあった様です。ルーツはマチュピチュともいわれています。
 15世紀イタリアのメヂチ家のカトリーヌ姫が、フランス・ブルボン家アンリ2世に嫁ぐ時、現代のお菓子の技術が伝えられたと言われています。

―原料はどこの国から?

 消費国はヨーロッパが多いのですが原料のカカオ豆は、ブラジル、アフリカ、コートジボワール、べネズエラ、キューバなどです。それぞれ渋みや酸味が違い、特徴があります。
 チョコレートは高級なもの程、明かりでも劣化するんです。熟成するとコレステロールが増えてしまう。最近はコスト削減のためにたくさんの乳化剤を加えたりするものもありますが、私は素材にこだわり、グレードの高い製品を作ります。
 世界を回って思うことは、日本の食文化のすばらしさです。たとえばお刺身。トロ文化と言いましょうか、日本人はトロと赤身はしっかり違いがわかる。うちのモンブランは形もよそと違いますが、ヨーロッパで出会ったお菓子にヒントを得て味は和菓子の練り物の味を残しています。和洋折衷です。これは日本チャンピオンに輝いた、うちの店のおすすめ品です。

■ 社会貢献を続けたい ■

―心がけていることは。

 私は学校出ていませんから、いろんな方の伝記を読んで参考にしています。松下幸之助、本田宗一郎、電通社長、カーネギーさん・・。
 皆さんにお世話になって、商売できるわけで、社会貢献なくして商売なしと思っています。鎌ケ谷では中学校の職業体験に協力させていただいてます。千葉経済大学やうらやす市民大学などでも講師を頼まれているんです。

―講演ではどんなお話を?

 「ケーキを通して世界をみる」と言うテーマです。

―特に大切にしている言葉は。

 「一心、二物、三技術、四法、五見」で、私の尊敬する社長にいただいた言葉です。弟子の結婚式のスピーチなどでもしゃべっています。どんなときにも心や物を大切にすること、職人ですから、技術も大切、そして経営の法律も。見は自分を見つめ見極めることです。

*   *   *

 今や皇室御用達のパティシエにまでなった木村さん。夜学で知り合った奥さんと「世界に行きたい」という夢を実現しようと結婚。「あなた売る社長、僕作る社長」と言う思いでやってきた。おかげで店はオープン時から長蛇の列で、と若い頃を思い出すようにお菓子のこと、家族のこと、社員のことなど半生を語ってくれた。にこやかな笑顔の裏に、苦労を苦労と思わない心のあり様が感じられた。
 「人の喜ぶ顔を見るのが私の喜びです」と語る木村さんの温和な人間性に触れてケーキを食べた時のようなほっこり、心あたたまるひと時でした。

「木村修のケーキ教室」

初心者から師範専科まで

場 所 浦安今川東京ベイ・ドルチア教室

     浦安市今川4−2−11

    京葉線「新浦安駅」下車8分

お問い合わせ 047−350−5000