Cityかまがや110号

『小金中野牧と縄文人』27        絵・サリーちゃん       文・鉄人28号

 享保十一年(一七二六)、八代将軍吉宗は前年に続き、同じ規模、体制で中野牧にて鹿狩りを行った。  この年の獲物は、猪12・狼1・鹿470という記録が残っている。  両年合わせると猪17・狼2・雉10・鹿はなんと1296であった。  次号以降で触れる予定であるが、小金牧内のシカ・イノシシは、享保の鹿狩り以降激減したのである。 将軍の武威発揚、旗本・御家人の軍事教練という名目で実施された吉宗の鹿狩りであったが、農耕害獣の駆除という農民側にとっての実利的な成果も、確実に上がったといって良いのである。

 さて、いささか旧聞に属するお話で恐縮ですが、昨年8月、環境省は中央環境審議会の「鳥獣保護管理のあり方検討小委員会」で、農作物や山林を荒らす被害が深刻な問題となっているニホンジカの生息数の将来推計値を発表した。  これによると、過去の捕獲数から2011年度の頭数は、261万頭(北海道除く)で過去最高と推計。同年度の捕獲数は27万頭で、このままのペースで捕獲した場合、25年度には2倍の500万頭にまで増加するという。
 環境省は増加の原因を「シカは繁殖能力が高く、オオカミなどの天敵がいないうえ、近年は暖冬の影響もあり大雪で餌が不足して死ぬケースが減ったため」と分析している。小委員会ではイノシシの推計生息数もあわせて公表した。11年度は88万頭で、89年度の25万頭から3倍以上に増えている。  これらの数字と比例するように、シカによる全国の農作物被害額は11年度で約83億円、05年度の約39億円に比べ2倍以上であった。
 シカやイノシシの増加を抑えるためには、捕獲するしかない。 しかし、捕獲の担い手である猟師数は、高齢化とともに年々激減しているという厳しい現実がある。 吉宗の鹿狩りから飛躍するようであるが、シカ・イノシシによる農作物被害は時代を超えて共通する深大な社会問題であり、国家的な規模で対策を講じる必要がある、というのは聊か大仰すぎるか…