Cityかまがや117号

森本草介さんを悼む                   石村 弘子  

 年を重ねるということは、大切な人々との別れや寂しさ、悲しみを味わうということですね。
 昨年お亡くなりになった「日本一の洋画家、森本草介画伯」。画伯の絵は、ハイライトはありませんが、内面から静かに湧き出てくる光の先々に描かれる花・女性・果物などに命の瑞みずしさや優しさが感じられます。
 またセピア色の柔らかい風景画は、世間の喧噪から逃れて、時間の過ぎるのを忘れさせてくれる安らかさがあります。その中で、感情を静かに揺さぶられる美しさは何であろうか、といつもいつも感じております。
 ファンの方が画伯の絵の前で、じっと眺め、しばらくしてから次に20㎝程近づき「これが正に写実絵だ!素晴らしい」と呟くのを聞くのも好きです。

 奥様のお話では「ちょっと休憩」と絵筆をおいて、ピアノを奏でるとのこと、「僕は絵描きになっていなければピアノ演奏家になりたかった」とおっしゃっていたとか。  昨年夏、「きらりホール」のグランドピアノを見つけ、ホールごと一人で5時間も借り切り「ベートーヴェン」ピアノソナタ23番「熱情」、「ショパン」ノクターン20番「遺作」を心静かに演奏されたそうです。

 今後も「きらりホール」入口に飾られている画伯寄贈の「コーヒータイム」は皆様を優しくお迎えくださる事でしょう。  ご自宅には、お孫様のために、庭に咲いたピンクのパンジーの花を描いた一枚が、絶筆として残りました。  今でも市内を散歩なさるダンディーなお姿に出会えるような気がして・・・・。

***森本草介(もりもと・そうすけ)年譜 ***
1937(昭和12)年 父の赴任先の朝鮮に生まれる
1944年 転任になり母の故郷岩手県一関町に住む
1951年 墨田区堅川中学校へ転入学
1962年 東京芸術大学美術学部絵画科(油画)卒業
1963年 国画会第37回展に初出品、初入選(以後毎年出品)
1964年 東京芸術大学美術学部絵画科(油画)専攻科卒業
1969年 国画会会員。十騎会結成に参加(毎年出品)
1989年 フランスに取材旅行、以後毎年のようにフランスを訪れる
1997年 保木将夫氏に認められホキ美術館創設のきっかけになる {ホキ美術館(2010年創設、千葉市緑区あすみが丘東3-5)は森本作品を37点収蔵}
2015年10月 鎌ケ谷市の自宅にて逝去。父、長男と三代にわたる画家。