タウン情報誌 Cityかまがや 122号(2017年夏号)
インタビュー  鎌ケ谷初の相撲部屋「朝日山部屋」親方

目標をもって、努力することが大切です。

ぷろふぃーる

朝日山親方  1968年6月8日、群馬県群馬郡箕郷(みさと)町(現在高崎市)出身。本名松澤英行。中学時代は柔道部。1984年3月佐渡ケ嶽部屋入門、初土俵。1987年2代目琴錦を名乗る。1989年5月入幕。金星8個。最高位東関脇。優勝2回。殊勲賞7回、敢闘賞3回、技能賞8回。2000年9月引退。2016年6月、鎌ケ谷市くぬぎ山に朝日山部屋として独立



4人の弟子と親方評


○幕下の朝日龍(22歳) モンゴル出身。3月場所初めて負け越しました。悪かった立ち合いをしっかり直したから次は大丈夫。同じくらいの力の子がいるところへ出稽古にやります。
○序二段の朝日丸(20歳) 群馬県出身。今日は吐いたりしたので念のため病院へ。昨年3月初土俵。勝ち越し4回、負け越し1回、休場1回。
○序二段の朝日錦(19歳) 松戸市出身。一番弟子、小さいけれど相撲センスがある。相撲に勝って勝負に負ける。詰めが甘いんです。
○序の口の松澤(19歳) 親方の長男。5月が初番付。現在国技館にある相撲教習所(月~金、6時半から12時半まで)に通う。実技、相撲の歴史や一般常識、書道、相撲甚句など半年間学ぶ。館内の食べ放題のお昼は無料なのがうれしい。



■ 親孝行が最大の喜びだった ■

―鎌ケ谷の住み心地は如何ですか。  
 ここは静かですし、いい所です。佐渡ケ嶽部屋に入門したので松戸にいましたし、鎌ケ谷にも飲みに来て、お友達の輪もありました。  そういえば去年10月蛇が出ましてね。びっくりしました。

―蛇は縁起が良いと言いますが。
 確かに。奈良県の三輪大社に行ったとき、白蛇をみたんですよ。その後テレビ、ラジオ、雑誌等の 仕事がたくさんきて、部屋独立も決定。今は蛇大歓迎です。

―親方は現役時代平幕優勝2回、速攻相撲で人気力士でしたね。
 ありがとうございます。親孝行がしたくてこの世界に入りましたから、親孝行できたことが一番うれしかったです。自分のためだとなかなか頑張れないですが、弟子や家族のためなら頑張れます。
 部屋を作ったからには立派な力士に育て、引退した後の人生も長いですから、しっかり歩めるように考えてあげたいですね。

―朝げいこは何時から行いますか。
 
佐渡ケ嶽部屋など50人もいる大きな部屋は、稽古もご飯も順番で時間がかかります。新入りは2時頃になってやっと朝ごはんが食べられる状態です。うちはまだ人数4人ですから、稽古も2時間やれば目いっぱいです。7時に起きてゴミ出しなどして、8時~10時位まで稽古です。  私が一番下の頃は太らなくてはいけないのに痩せてしまうんで、ちゃんこのスープも残さずかけて12~13杯食べてました。今は材料も豊富になり、スープを残す子もいます。贅沢になりましたね。

―ちゃんこというのはどんなものをいうのですか。
 お相撲さんの食事のことをすべてちゃんこと言います。鍋はちゃんこ鍋と言いますが。

―自分で作るのですか。
 そうです。この間おかみさんがチャーシューとか角煮の作り方を教えていました。一日2食しっかり食べて、しっかり寝て、大きく育てですね。

■ 自分との闘い ■

―稽古はどんなことを。
 まずは四股を踏むこと。100回やって少し休んで全部で300回。次にてっぽう(太い柱を押す)を300回。20kgの砂袋を持って、腰を落としてすり足で8mくらいを5往復。こういった基本は一番大切だけれど、なかなか大変なんですよ。2005年だったかな、ロッテの選手にも四股とすり足指導に行ったことありますよ。
 私が現役の頃は殴るけるは当たり前でした。4年で十両、5年で幕内になるという目標を掲げ、それは達成しました。体が小さいのにまわしをとる相撲が好きでした。が、それを押し相撲に変えることができたのが良かったと思います。
 その後三度大関に挑戦しましたが、時は若・貴ブームでついに大関になれませんでした。「まあいいや」と守りにはいってしまったんですね。自分にはつい甘くなる。そういう自分との闘いでしたね。
 千代の富士さんにも自分で目標を立てないといい話は来ないよといわれました。引退後なかなか自分の部屋を持てなくて15年かかった。105個位親方株があるのですが、空いている親方株を借りながらいろんな名前を経て今があります。本当にいろいろな方に支えられました。感謝です。
 この「朝日山」というのは江戸時代からの名跡ですが40~50歳代で亡くなってしまうといういわくつきの名前だったのです。先代は定年後の今もお元気で、俺が因縁を断ち切ったからと、おっしゃってくれて、跡を継ぐことができ私は20代目というわけです。

―現在の目標は。
 私の同期生が琴奨菊関のいる佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)、逸ノ城関のいる湊親方(元前頭・湊富士)の二人です。私は定年までに16年しかない。この間に何とかこの二人に追いつきたいですね。

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朝日山部屋はくぬぎ山自治会館の隣にある。玄関を入ると現役時代の活躍ぶりを伝える額やトロフィーや写真等がぎっしりとケースに収められている。1階には土俵。国技館に飾られていた関脇・琴錦時代の天井にまで届く大きな優勝額が飾られている。当時は専属の絵描きさんが優勝額の画を書いたという、今となってはとても貴重なものである。
 朝日龍さんが最後に腕立て伏せなどをして朝稽古を終えた。お茶を入れてくれたのは朝日錦さん。二人がお昼近くになるとちゃんこを用意し始めた。上等な焼肉をたっぷりと。いっぱい食べて大きくなれと祈らずにはいられなかった。  親方の相撲解説も面白さに定評があるが、元横綱北の富士さんの「思ったことを言えばいい」のアドバイスがあったからという。今やテレビ、ラジオ、雑誌等の仕事依頼も多い。  独立して一年。私たちも弟子達のこれからの成長を楽しみに見守りたい。