タウン情報誌 Cityかまがや131号(2019年9月) 鎌ケ谷の自然を訪ねて130

下総地殻活動観測施設から佐津間城跡へ      写真と文 秋山秀一

 自然というものは、なんとも…。そう言いたくなることがある。わがままなのはこちらの方なのだが、こちらが期待している、その思い通りに行かないときなど、に、である。しかし、自然というものは、そういうもんなのである。異常でもなんでもなく、ずっと昔から、そうだったのだ。思い通りにいかないのが、自然。人生も、また、しかり、である。が、時には…。  「記録を取り出してから、最も少ない日照時間」。そんな日々が続いていたので、「雨の中を歩くのも仕方ないか」と、考えていた。
 7月中旬の某日。前日の天気予報も、雨だった。が、その日の午後だけ、なんと、雨が止んで、日まで照ってきたのだ。
 「あれだけ天気が悪くて、今日も天気予報、雨でした」  と、会うなり、Sさん。  「晴れ男は、どっちかな?」  と、Sさんが言うが、このぼくでないことは明らか。ニューカレドニアで降られ、サンチャゴ・デ・コンポステーラで降られ、ハイデルベルクで降られ、ケルンで降られ、ホノルルで降られ、なんと3月末のウズベキスタンのヒヴァでも降られた。この半年余りの海外取材旅も、これだけ雨の中、写真を撮りながら歩いたのだから…。  なんと、6月末、サンクトペテルブルクの後、モスクワでは日中34℃という記録的な暑さ。今年のこの時期、ヨーロッパ各地は記録的な猛暑だったのだ。

 「佐津間城って、行ったことあります?」というSさんの言葉に「いや、まだ行ってないな~」。と、いうことで、今回のメインは、佐津間城跡に、決定。
 でも、「ここ、意外と知られてないけど、防災の拠点なんですよね」  との一言で、途中、寄り道。場所は、鎌ケ谷のすぐ隣にある〈防災科学技術研究所 下総地殻活動観測施設〉。
 ここには、地下の岩盤まで達する深さ2300mを超える観測用の井戸がある。ここで観測されたデータは専用回線で筑波研究学園都市の防災科学技術研究所に送られ、地震予知研究のための資料として記録・保管されている。塀の外に、詳しい説明パネルがある。是非、現地で、ご確認を。
 移動する車の中から自衛隊の基地に隣接する桜並木を右に見て、Sさん、「この桜、苗木を寄付してもらって、市役所の職員が1本1本植えたって話を聞きました」。  今、それが、1㎞以上に渡って、見事な桜並木になっている。


 「軽井沢は昔、東葛飾郡じゃないんですよね。唯一印旛郡だったんですよ」という話も、昔の鎌ケ谷の自然や地形を考えると、納得。

 「佐津間城、どっちだったかな~」「この山のところだったと思うけど…」と言いながら、ぐるぐる回って、住宅地の中へ。やはり、お城だけあって、高いところにあるはず。が、「こりゃ、わからないな~」。で、Sさん、グーグルマップで調べ始める。出てきた。佐津間城跡って、載っている。  「この辺だな」。深い森の間の、下り坂の階段状の道を歩いていく。「ありました」。下りきったところに、説明板が立っている。
 佐津間城跡構造図を見ると、「虎口」、「主郭」、「土塁」、「空堀」、それに、3カ所の「櫓台」の位置がわかる。説明板の前に立ち、書かれたものを読んで、そのバックに広がる城跡を眺め、城の姿を想像する。  「千葉県内に中世の城が560くらいあったらしいですね。鎌ケ谷市内に確認できたのは。佐津間城一か所だけで、だれが住んでいたかもわからないんですよね」  ウ~ン、想像が画き立てられるね~。が、正気に戻ると、やたらと、痒い。やぶ蚊の襲撃だ。「パチン」。丸々と太ったやぶ蚊の死骸から、真っ赤な血が、たっぷりと。 (旅行作家・元大学教授)


写真説明
▲深い井戸なんですよ ▲この桜、昔の市の職員の人たちが、1本1本苗木を植えたんですよね ▲佐津間城跡 ▲佐津間城跡構造図