連載エッセイ16 気まぐれティータイム

   ああ 鎌ケ谷  江上真悟


 実家のかまがやでこの原稿を書いている。深夜の二階の部屋ーエアコンが壊れている為、扇風機の風と外からの風だけが頼り。でも蒸し暑い! まさに熱帯夜!
 でも考えてみれば、エアコンなど無かった頃は、「暑い、暑い」と言いながらも、何とかしのいでいたんだろうなあ・・・。

 今、鎌ケ谷にも二つの風が吹いている。ひとつは次期市長選。(何あろう今は投票日真近の頃!)このエッセイが読まれる頃は当然「鎌ケ谷の顔」は決まっているはず。「舞台は鎌ケ谷 出演は市民 そして脚本と演出は市長」 先生と呼ばれる政治家にしろ、学校の先生にしろ、プロ野球の監督にしろ、もしくは子を持つ親にしろ、それぞれの相手に対してとれだけの演出力を持っているかが鍵でしょう。
 そしてその為にどれだけのシナリオを抱えているかーしかしシナリオ通りにいかないのが世の常。演出助手というブレーンも鍵ですね。まあ、どんな仕事や地位に就いたからって永遠ではないし、いつかはこの世にサヨナラし、その後は忘れられたり・・・忘れられなかったり・・・。
シェイクスピアも言ってたけど、一度きりの人生という舞台。再演することは出来ない。 シナリオだって書き換えることは出来ない。そしてこの世の登場人物たち・・・。プロフィールではなく生き様を語れる人が、鎌ケ谷の演出家(=仕切り屋)としてセンスのある演出を・・・。センスとは「微妙な物事を読み取ろうとする心の動き」。素敵な鎌ケ谷作品創りを期待しましょう。

 もうひとつは鎌ケ谷駅周辺の都市計画事業。原稿を書いているこの家・・・大学時代まで暮らしていたこの家・・・無くなってしまう。もともとこの家はボロ家だった。どこから見てもボロ家だった。やがて新築の為に壊すことになった時、最後のお風呂に入った夜、いまだに覚えている。温かかった・・・。 時は流れ、この家も何十年か経った。半分物置き状態になっている自分の部屋には、学生時代の想い出の品々がひっそりと眠っていた。
 卒業式の時、みんなが書いてくれたサイン帳、当時ファンだった芸能人のピンナップ(不思議なもんだ。その中には競演した人もいる)。鼓笛隊で吹いたたて笛、夏休みの宿題だった作品、卒業文集、大事にしていたベーゴマまで・・・。所詮慰めとして何を想い出にしたいのかということだろう。面白いもんで人の思い出というのは、年と共にだんだん遠く昔にさかのぼっていくようだ。この家が壊される時も、最後にゆっくりとお風呂に入ってみたい・・・。
 現在僕が住んでいるのは渋谷の幡ヶ谷。そして実家はここ鎌ケ谷。漢字で一字違い。では最後に・・・かけがえのない まーるい気持ちになれ がやがやと賑わう やっぱり故郷 ああ鎌ケ谷!

 あっ!アイスコーヒーがホットになってる!!(俳優)

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