前回歩いたときから3カ月、夏の真っ盛りの、暑い日、今回も、粟野の森を歩いた。
 同じ場所でも、季節が変わると、自然はちがった姿を見せてくれる。
 粟野の森は、鎌ケ谷市内に現在も残る本格的な森として、貴重な存在。
 この自然が、夏にどんな姿をしているのか、森の中を実際に歩いて、体験してみることに・・・。

 まずは、粟野のコミュニティセンターに寄る。
 『粟野ふれあい広場』が、3カ月前に比べ、見違えるようにきれいに整備されているのを見て、感心していると、
「グラウンドゴルフやる人がきれいにしてくれたんですよ」
 と館長さん。
「今、普通なら草がすごいんですけど、皆さん、利用者が自分たちで草取りしているんです。草刈り機仕入れてきて、年中刈ってますね」
 利用する人たちが、自分たちで整備していたのだ。
「10月になると、粟野保育園の子どもたちが、ここで運動会やるって・・・」
 う〜ん、いいね。これだけきれいに整備されたグランドなら、子どもたちも大喜びだ。
 木にはしっかりと葉が茂り、大きく垂れ下がっているものもある。
「これは、コウモリカズラですね」
 と、Kさん。

 今年の梅雨は、空梅雨。6、7月は、ほとんど雨らしい雨が降らなかった。
「アジサイが元気ないですね。その代わり、サルスベリが鮮やかですね」
 粟野の森へと通じる道を歩きながら、道端に咲くアジサイの花を見て、Kさん。
 葉が茂り、緑濃く、うっそうとした森の中を歩く。
「前のときとちがいますね」
「ヤマユリが咲いてます。でも、ちょっと花が小さいかな〜」
 墓石の回りに、ホオズキ。実がぶら下がっている。
 朽ちた切り株の真中から、竹が伸びている。
 春、ウラシマソウやマムシグサのあったところに、クマツヅラの白い花、ダイダイ色のヒオオギアヤメ。小さな花が咲いていた。
「トンボがいました。アキアカネ・・・。春とはすっかり変わってますね」

 大津川の辺に出る。
 水が流れている。
 が、相変わらずの、ドブ川。
「これが、きれいだったらなあ〜・・・」
 クモの巣と、セイタカアワダチソウの群生。
「水路の周辺は刈ってあるんですね」
 水路に沿って、歩く。
 シオカラトンボ、ムギワラトンボ・・・。
「トンボ、種類、けっこういますよ」
 と、やや興奮気味に。
「あれ、ムギワラじゃないんですよ。え〜と、ミヤマアカネはいたね・・・」
 と、図鑑を開いて、確認するKさん。
「ここでヤゴ育つんですかね。信じられないですけど・・・」
白く、閉じた花は、秋に赤い実をつける、カラスウリ。
 歩いていると、そばを、トンボが行ったり、来たり。
「水がきれいになれば、オニヤンマが飛び交うんでしょうね」
 やはり、オニヤンマが話題に。

 森に沿う道を郵便バイクが通っていく。
 風の抜けるところは涼しい。
「あれ、キンミズヒキです。ミズヒキは赤いですけど」
 クズの葉の間をモンシロチョウがヒーラヒーラと。
「あっ、大きな三角バッタ。これだけ大きいのはなかなかいないですよ」
 ショウリョウバッタはハタオリとも言われ、オスはメスの半分ぐらいの大きさ。メスの方が大きい。
「あれはメスですね」
 夏草がこんもり大地を覆い、春に比べ、花の種類はかなり少なくなる。
 春は、花。夏は、虫。
 森の主も季節によって変わる。
「あれ、あの蝶、コミスジっていう蝶ですね」
 パッ、パッ、と、区切りをつけたような飛び方をするのが、このチョウチョの特徴。はっきりとした縞模様が、森の中で、パッ、パッ、と。
「わ〜、すごいですね。これ、クモですよ。クモの子」
 木の幹の下の方にできた穴から、クモの子がワ〜っと、湧き出て、幹を伝って上っていく。
 大きなイモムシが、落ち葉の積もった道をゆっくりと横切っていく。
 ヒグラシの抜け殻があっちにも、こっちにも。
「やりました。ヒグラシを素手で捕まえるのは難しいですよ」
 と、自画自賛のKさん。
 透き通った羽根、緑色をした胴体。きれいなセミだ。
 観察したら、再び自由の身に。
「クワガタ見つけたいんですけどね。夏の虫、って感じの」
 そううまくはいかないのが自然。が、蚊は寄ってくる。チクリ。ホッペタがぼこぼこに。
「ピヨ〜、ピヨ〜・・・、ホ〜ホケッ・・・キョウ」
 ウグイスの泣き声も、春とはちがう。
「暑いよ〜、って言ってるみたいですね」
 と、Kさん。

 潤いのある暮らしに、緑と水辺空間は欠かせない。「池が大ピンチ」。そんな話を聞き、帰りがけ、東武団地の池へ。徳寿司旅館のところで話題にものぼっていたあの池の水が減り、底が現れていた。貴重な水辺の空間、なんとかしなくっちゃ・・。戻る
(旅行作家・日本エッセイストクラブ会員)
鎌ケ谷の自然を訪ねて70
粟野の森・夏
写真と文
  秋山 秀一