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鎌ケ谷の自然を訪ねて81
「水の流れ 大切だよね」    写真と文 秋山秀一

 「女の墓があるはずなんですけどね〜」  道端にポツンと立っていた、昔宿場で暮らしていた女性の墓を見つけようとするが、 「ないですね〜」  と、Kさん、残念そうに。  確かに、十年ほど前に、Kさんの言う「女の墓」を見た記憶はあるのだが・・・。 「この辺りも、ずいぶん変わってしまいましたからね。でも、残念だな〜」  なかなか諦めきれないKさん。鎌ケ谷の歴史にも興味大ありなのだ。でも、気持ちを切り替えて、鎌ケ谷の自然を訪ねて、歩き始めることに・・・。  歩く場所は、初めからはっきりと決めてその場所に行くこともあるが、そのときの気分しだいで、何となく決まることもある。ちょっと寄り道、のつもりが、そのままその場所で、ということもある。今回も、どちらかというと、そのパターン。  でも、そこで、思わぬ発見があったりして、なんか得をしたような、そんないい気分を味わうこともある。まあ、流れのままに、自然のままに・・・。

「水がきれいだ。なんでこんなにきれいなんだ」  《弥生の里》のそばを流れる道端の小川を見て、Kさん、興奮気味に。 「びっくりした。こんなに水量もあって、水がきれいで・・・。セリもほら」  確かに、清流である。 「ちょっとビックリしましたね」  と言いながら、その流れを追って、歩いていく。 「ここで川に入り込んでますよ」  おばあちゃんが、通りかかった。 「この川、何ていうんですか?」 「これ、中沢川っていうの。これずっと先へ行くと、市川の方へ行くの。ここだけ、鎌ケ谷なの」  Kさんは、お年寄りと子どもとはすぐに仲良しになる。もっとも、われらも、もうそろそろ、お年寄り世代に・・・(?)。  空を見上げると、灰色の大きな雲が動いていく。

「脇から攻めましょう」 「だんだん、谷津田の面影が無くなっちゃいますね」  畑の間の道を歩きながら、そんな会話をしていると、 「ホーホケキョ」  と、ウグイスの声。 「梨の花が咲いてますね。もう終わりですけど」 「ホーホケキョ」 「いい鳴き声ですね。情緒を作ってくれますね」  と、Kさん。そう、自然はいつだって、Kさんの味方なのだ。  坂道を上って、下って・・・。  風がザー。木が、葉が、揺れる。 「あっ、スミレ。これ、ムラサキケマン。これ、ウラシマソウ」  日曜日の朝。こちらは睡眠不足気味。でも、Kさんは元気、元気。  ツバメがス〜イ、スイ。 「これ、クレソンじゃないですか」  道端に、大きく育って花の咲いたクレソンが群生している。 「それだけきれいな水が流れているってことですね」  崖からの湧き水が、路上を流れて、中沢川へ。  《ごみ捨て禁止》と書かれた立て札が川の脇に。  金網の柵に枯れ草がいっぱい付いている。大雨のとき、水がここまで浸かった、という痕跡だ。  熟年カップルが、ウオーキング。自転車に乗ったおばちゃんも通る。  歩いていくと、東中沢三丁目30と、電柱に。  墓地があった。 「入ったときの、町長の墓です」現役時代を思い出して、Kさん。  その先に、霊園。 マイクロバスから墓参りの人が降りてくる。  霊園の外に広がる森の中に入っていくKさん。 「前に見つけた、網目になった風変わりなキノコありましたよ」  森の中を歩く。フカフカとして気持がいい。奥に入っていくと、谷がある。降りていく。清流、というわけではないが、水の流れがある。森の中に杭が打ってあるのでいつかここも開発されることに。「この水の流れがうまく生かされるといいんだけどね〜」  と、Kさん。そう、もともとある自然を残して生かす工夫があるといいんだけどね。(旅行作家・日本エッセイストクラブ会員)

この自然生かされるといいんだけどね

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