タウン情報誌 City かまがや    

鎌ケ谷の自然を訪ねて83.
「鎌ケ谷西高のそばで、季節の花を…」    写真と文 秋山秀一

 
 たまに、「地元鎌ケ谷に生まれ、育った、土地の人に話を聞いてみようかな」と、思うときがある。  そんなとき、「花を作っている原さん」の名前があがった。  早速、原さんに電話をかけ、Kさんとふたりで、原さんのお宅へ・・・。

 「じきに戻ってきますけど、今、畑でクスリ撒いてますから・・・」  そう言われて、Kさんと2人、まずは、畑の中へ。  畑の向こうに見えるのは、鎌ケ谷西高。  10月の末、やや時期遅れの台風が本州近海の太平洋上を通り過ぎていった日の翌日。  いい天気である。 「今日は、天気ダメだと思ってましたけど、晴れちゃいましたね。私の日ごろの行動がね」  と、気分良さそうに話す、Kさん。  キクの花の間をモンシロチョウが2匹、舞っている。  

 畑の奥の方からリアカーを引いて戻ってきた原さんと、歩きながら話し始める。 「ここにはいつごろからお住まいになっているんですか」 「親の代からよ。親が原家の4男坊で、分家して、ここにきたのよ」 「ススキ、ありますね」  と、Kさんが言うと、 「信州の方からやってくるものにはかなわないね。最近売れないけど、植えてあるだけで・・・」  キンセンカもある。 「房総では路地でできるけど、こちらではビニールをかけて・・・」  出荷時期は、春のお彼岸。 「昨年は暮れにキンセンカが咲いちゃって、春のお彼岸にはいくらもならなくて・・・」  花それぞれには、出荷時期があって、それにうまく合わせて咲かせるのも、簡単じゃないようだ。

  「昭和50年ごろから花は少しやってて、だんだん増えていって、気がついたら花が中心になっていた、そんな感じで、一番初めは、花作ってうちで売るなんて考えなかった。昭和60年ぐらいから、野菜なんか道端に置いて売ったら、それが売れて、秋に、花を1本5円とか10円とか書いて置いといたのよ。それがいつの間にか、じゃ花やろうか、ってなって、小屋みたいの建ててね・・・」  

 道路沿いの2階建ての建物の中に、季節の花が並ぶ。その花の香りを嗅ぎながら、原さんの話をいろいろと聞いた。  「原さんのお名前は何ていうのですか」  と尋ねると、 「森が違うだけ」  と、歌手の森進一を意識して、ちょっとおどけながら。 「今年70だから、早く隠居したいよ」  と言うが、まだまだ、現役。元気、元気である。 「昔は北初の出荷組合に入っていて、野菜を出荷場にだしていたけど、そのうち、自分の車で行こうっていう人が出てきて・・・。昔は、組合員のそれぞれに番号がふってあって、140ぐらいあった。うち、何番だったかな〜」

 車の止まる音がして、花を買いに、客が入ってきた。 「仏様二つ頂戴」 「仏様のは、お墓参り? 長さはどうする?」  客の相手をするのは、夫人のなみ子さん。  帰り際、「カーネーションもらっていきます」と、サービス品の花、それに、「これ、もらっていきます」と、カゴに入っていた《Cityかまがや》を手に取るお客さんもいる。 「いつも、楽しみに、読んでます」 「千円の束、下さい」 「仏様の?」 「店に飾っておくの」 「洋花も入れておきましょうね。980円です」  なみ子さんと客との会話も、いい。親しげに話しをしていたので、会話に参加。 「よくくるんですか?」 「2週間に1度ぐらいですかね。長持ちするんで、いいんですよね」 「お盆のときなんか、山梨とか静岡なんかに持っていく人もいます」
(旅行作家・日本エッセイストクラブ会員).

   

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