タウン情報誌 Cityかまがや

インタビュー  
エクストリームアイロニスト 松澤 等さん
アイロンの効果は癒しというか安らぎの感覚です。それを極限の状態でやるとさらに癒される。
ぷろふぃーる
松澤等(まつざわ・ひとし)昭和44年1月8日生まれ、1歳で鎌ケ谷へ。鎌ケ谷市立中部小学校・第4中学校卒。高校卒業後オーストラリアの大学に留学。18歳から約8年余りをオーストラリアで生活。現在市川市在住。会社員。



エクストリームアイロニングとは  1997年イングランドにて発祥。イギリス、ドイツが2強でフランス、ベルギー、オランダ、オーストラリア、アメリカ等に広がり、不定期だが世界大会も開催されている。  1500mのコース中に5箇所のアイロンがけのポイントがあり、技術、芸術性、スピードを競う。そのポイントとはフリースタイル、アーバンスタイル(街)、ロッキースタイル(ロッククライミング)、フォレストスタイル(森)、ウォータースタイル(川)である。
富士山頂にてアイロンをかける松澤さん

 スポーツです ■

―エクストリームアイロニングとはどういうものを言うのでしょう。
エクストリームとは「究極」という意味。ロッククライミング、サーフィン、カヌー、波乗り、スカイダイビング、山頂等さまざまな極限状態の中で、アイロンがけを行なうスポーツです。強靭な肉体と精神、周到な準備が必要です。 
―しかし、何でそんなことを?というのが正直な感想ですが。
はい。そう思われるでしょう。メディアで紹介される時はどうしても、面白おかしくが強調されてしまいます。スポーツとして認知してもらうためには、多少派手なパフォーマンスも必要と思っています。 
―きっかけは?  
18歳オーストラリアでホームステイしました。自分の洗濯物を自分で取り込んで、外でアイロンがけしてから、家にしまうという家だったのです。靴下からジーンズまで、しわを嫌うんですね。私はそれ以来毎日アイロンがけをしています。私にとってアイロンがけは日常なのです。  ある時BBC放送でアイロニングの放送を見たんです。アウトドアに自信があったし、自分の方がアイロンがけもうまいと思いました。最初面白半分にやったんですが、鳥肌立ちました。
―アウトドアの経験は?  
これも本格的にはオーストラリアで身につけました。特にカヌーは、世界4位のアメリカ系のオーストリア人グレックミラーとコンビを組んで、働きながら、スポンサーも付いて競技者としてやっていた時期もあります。オーストラリアの自然は雄大で、もちろん危険も大きい。アウトドアのレベルもものすごく高いです。

■ より大きな達成感へ ■


―鳥肌が立ったと言うことが理解できないのですが。  
たとえばロッククライミングの途中でアイロンがけをすると、冷静になれ、安全性が確保できるわけです。つまり私にとっては日常であるアイロンがけをすることによって、平常心が保たれます。より難しいことをすることにより、より大きな達成感を得、その達成感を山に収めていくような、「武士道」に通じるような、言葉を変えれば、野点の感覚を得ることができるのです。
―電源はどうするのですか。  
アイロンは電力をたくさん必要とします。昨年は富士山に2回登りましたが、25キロの発電機を背負って8時間歩きました。きつければきついほど達成感は大きいですよ。で、2日間日の出を待ってアイロンをかけました。  時には携帯コンロを持参することも在ります。7〜8分コンロにアイロンを載せると、熱くなって、5分ぐらい使えます。着ている物を脱いで、かけることが多いです。
―今後の目標は。  
エベレストで単独、無酸素、軽装備で、アイロンがけしたい。5年以内に達成したいと思っています。これは夢ではなく、実現可能な目標です。これに向かって今、一つ一つ蓄積しているところです。
―エクストリームアイロニングジャパンの会員数は?  
13名です。条件はアイロンがけのできる人、アウトドアスポーツに長けた人です。申込者は2000人位いるのですが、あえてハードルを高くしています。究極と無謀とは違いますから、真摯に取り組める人かどうかを見ます。  筑波山をホームにして、トレーニングしています。月2回くらい行きます。走って登ると30分です。2往復してアイロンかけて、ごみ拾って帰ってきます。

―どんな子どもでしたか。  
数学や英語は苦手。ウシガエルを捕まえると1匹100円で買いとってくれるおじさんがいましたよ。かぶとむし、クワガタ、蛍…谷地川でシュノーケルで覗いて、よくザリガニ捕まえました。  小学校ではカブスカウト、中学校ではボーイスカウト鎌ケ谷第1団に入っていて、ロープやアウトドアを学びましたね。4中は歩いて40分ですが、帰りは2時間かかる、そんな子どもでした。
*  *  *
「富士山でアイロンがけ?なぜ?」から出発したインタビュー。山に行ったら3原則がある。人に迷惑をかけない。動・植物への影響を与えない。無謀な事はしない。それを守りながら、環境へは常に配慮し、山に行ったらごみを拾うという。  日本にこのスポーツを持ち込んだ先駆者としての自負にあふれている。「なんてことを」と笑われようと、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイに自分をたとえて、強い意志と信念を持ってアイロニング普及に取り組んでいる。しかも求道者のような思いが、ちらちらと見え隠れする。死ぬも生きるも自分だという覚悟が必要だと強調する。  ふわふわした若者が多い中、今時、なかなか骨のある青年である。