タウン情報誌 City かまがや 88号 

鎌ケ谷の自然を訪ねて87
家庭菜園で休日を楽しむ・・・    写真と文 秋山秀一

  「ちょっと10月桜を見てから行きましょう」  Kさんのその言葉に従って、まずは、鎌ケ谷カントリー倶楽部へ。 「10本ちかくありますね」 「毎年、この時期に咲くんですよね。この辺では、よく知られています」  塀に沿って続く桜の木の枝に、淡いピンク色の花が、パラパラと、咲いていた。  10月下旬、秋も深まり、どんよりとした天気の下で見るこの桜、それは、春に咲く桜とは趣がちがって華やかさがなく、花は小粒だ。しかし、長く、咲いている。  ここ20年、毎年2月下旬にロンドンで見る桜もこんな感じである。
 「今日はグリーンハイツから攻めましょう」  グリーンハイツの一番奥、林の中の石段の道を上っていく。 「いい道でしょう。ここは年寄りの散歩道になってます」  と、Kさんが言うように、お年寄りが一人、元気な足取りで、すれ違っていった。  坂の上に出ると、風景がガラッと変わった。  台地の上に広がる、畑。民家の畑もあれば、その先へ行くと、区画整理された家庭菜園もある。  土曜日の10時少し前、畑仕事をしている二人の男。  その畑に植えられているものは、ダイコン、ネギ、ニンジン、カブ、サトイモ、ミズナ、ホウレンソウ・・・。 「これは?」 「ヤーコン」 「あ、あの健康食品の」 「そう」  奥へ行くと、家庭菜園のバックに大きな森がある。 「この森、面白そうですね」  と言いながら、好奇心旺盛のKさん、歩いて森の方へ・・・。  振り返って、手招きするので、そばへ行くと、畑と森の間に、柵があって、その中に、何と、ストーンサークルが・・・。  石仏が内側を向いて、並んで円を描くように立っている、ようなのだが、よく見ると、刻印された文字が読めるものもある。  じっくり観察して、得られた二人の結論は、 「お墓ですね。これは、墓ですよ。後から、ここに、こうして、まとめられたのですね」 「35ぐらいありますね」
 謎解きはこれくらいにして、再び、家庭菜園を見学することに。 「ピーマンですか」 「カラーピーマンです。もう、時期が過ぎてしまいましたけど」 「自分で作られたら何でも美味しいでしょうね」 「確かに、美味しいですよ」  初対面の人とも、ごく自然に、こんな会話を楽しんでしまう、Kさん。 「土曜日しかやりませんけど、それでも、けっこうね」  モンシロチョウが、二匹、ひらひらと。 「コケコッコー」  この農のある風景も、いいな〜と、思う。 「モンキチョウもいますね」

 先ほどの二人の男、一仕事終えて(?)、自分たちの家庭菜園をながめながら、美味そうに、ビールを飲んでいた。 「美味いでしょう」 「美味いですね」  パチン。  痒い。  黒い、大きな蚊が、我が手の甲に。
 先へ歩いていくと、畑にしゃがみこんで、一人の女性が、何やらハサミでパッチン、パッチンと。 「ウジは殺虫剤って、効かないんです」  そう言いながら、ハサミで、一匹、一匹、パッチン、パッチンと。  これからタマネギを、ここに植えるところとのこと。 「いつごろ収穫できるんですか」 「来年の春です」 「船橋から来ました。もう、目が覚めると、畑のことが気になって・・・。今日は、6時前から来ています」 「健康そうに見えますね」  とKさんが言うと、 「健康です。それはもう、健康です」  と、元気な声で。
(旅行作家・日本エッセイストクラブ会員)