タウン情報誌 Cityかまがや 93号

Think Globally, Act Locally.
水辺の話         倉田 智子

 たくさんのカバが泥の中で、ひしめきあっています。どうしたのでしょう?カバは一日の多くの時間を水中で過ごします。水辺や湿地が耕地に変わったので、皮膚の乾燥を防ぐには、狭い場所でも我慢して身を置くしかないのです。

 水辺の減少は遠いアフリカの話ばかりではありません。世界中で起きていて、ここ鎌ケ谷でも同様です。鎌ケ谷市民プールでは水循環のポンプが老朽化し、交換が必要となりました。しかし利用者は一夏1500人程度、付随する設備もシンプルなため利用者の増加は期待できず、費用対効果を考えると閉鎖はやむを得ない状況です。しかしプールの閉鎖は水辺の減少になるのです。

 プールが水辺だって?おかしいなあと言われそうです。実は利用者は人間ばかりではありません。プールが遊泳のためオープンするのは年間わずか40日余り、大部分の期間は水生生物がプールを占拠しています。

 プールの住人をご紹介しましょう。ミジンコ、ユスリカの幼虫(アカムシ)、コカゲロウ、マツモムシ、ハイイロゲンゴロウ、ガムシ・・・まだまだいます。トンボの幼虫ヤゴではアジアイトトンボ、オオアオイトトンボ、シオカラトンボ、ノシメトンボ、ギンヤンマ、そしてニホンアカガエルのオタマジャクシ!

 プールはどこも同じではなく、鎌ケ谷市民プールは立木に囲まれた環境が生き物の種類も数も多くしています。葉っぱがプールに落ち込み、葉っぱを食べる虫、その虫を食べる虫、この虫をエサにする別の虫、と続きます。人間はこれを食物連鎖とか、食物網といいます。四角く囲われた場所ですが、生態系を形作っています。水面が地面に近いこと、掃除の時期が遅いことも生存を容易にしています。そして小さな生き物のためだけではなく、これらを観察し飼育することは、こどもたちの感性を育み、理科教育にもなります。

 閉鎖イコール取り壊しではありませんが、使用停止になれば水替えがされず、水質が悪くなります。雨水だけでは浄化されず、生き物が住めなくなることはグリーンハイツのプールで経験済みです。一年に一回の水替えを保障できないでしょうか。水道代は約20万円、掃除に人手が必要です。

 今年は生物多様性年、鎌ケ谷でも生物多様性が保たれるよう、皆さまの関心が寄せられることを願います。併せて中沢田んぼの保全にもご参加ください。