タウン情報誌 Cityかまがや93号

鎌ケ谷の自然を訪ねて 92
市役所の屋上から鎌ケ谷を眺めると… 写真と文 秋山秀一

 「市役所の屋上から、東京スカイツリーが見えるんですよ。ずいぶん大きくなってきましたね」  鎌ケ谷市の某審議会に出席するため市役所に行ったとき、企画総務部長のKさんがそう言った。  こうなると、もう、だめだ。そんな話を聞いてしまったら、そのままにしておくわけにはいかないのである。自分の目で見るまでは・・・。
 というわけで、久しぶりに市役所の屋上に上ってみた、というわけである。  どうせなら、一人より二人、二人より三人で・・・。  ちなみに、市役所の屋上には、誰でも上ることができる。  何といっても、二十年以上も続いている、この由緒ある『Cityかまがや』。しかも、ちょっとスタイルを変えての《鎌ケ谷の自然を訪ねて》の、今回は実質的な最初の回ということになる。気合も入るのである。  どうせなら、見晴らしの良いときがいい、ということで、日を選び、時間を調整して、一月下旬のある日の午前九時過ぎ、冷たい風の吹く、屋上へ。

 磁石、それも、廉価品のものではなく、敬意をはらって、スウエーデン製の精度のよい磁石をもって。 「東京スカイツリー、朝は見えたんですけど、だんだん見えなくなってしまいましたね」  しかし、この日は、あいにくと、この時期にしては、珍しいぐらいに、空一面、どんよりと、雲が覆っていた。
 でも、これも、自然相手ではしかたのないこと、と、素直に受け入れ、めげずに、まずは、東の方向を見る。  眼下を走る道路を、車が行きかう。 「船橋・我孫子線ですね」 「国道と兼ねているんですよね」   市役所の東側を走るこの道は、初富交差点まで、国道四六四号線でもある。一部国道を兼ねた県道なのだ。
  「あれ、な〜に」  五羽の大きな鳥が空高く飛んでいく。 「あれ、白鳥ですよ。印旛沼にも、本埜の休耕田にも、手賀沼にも白鳥いるんです」
 左手、北の方へ目を向けていくと、粟野、佐津間、軽井沢…と、こんもりとした森が見える。その中を、北総鉄道の高架橋を電車が走っていく。  子どもたちの元気な声が聞こえる。 「あの幼稚園、東武鉄道の連立事業でここに移転したんですよね」  ピンクの壁に緑の屋根。 「見えますもんね。子どもたちが半そでで元気に走り回っているのが」  と、Kさん。  このくらい元気なのがいい。なんといっても、鎌ケ谷の未来はこの子たちに懸かっているのだから…。 「高架橋って意外と高いんですね。手前のビルの三階の屋上ぐらいまでありますね。そのうち新京成が下走っているのが見られなくなりますね」
 屋上の北側へ、移動。 「ここは、様変わりですね。一面の梨畑でしたもんね」 「雲がなければ、こっちに筑波山が見えて、日光連山、那須が見えて、左手の方に秩父と丹沢が見えるんですよね」 「イオンができて、六年になりますね」 「東横インは鎌ケ谷市内のホテル第一号。ここは飛行場があるから、これくらいが最高の高さなんですよね。もともと地盤が三十mぐらいあるから、四十五mぐらいのビルしか建てられないんですよ」 「東西南北の分水嶺が消防署辺りなんですよね。鎌ケ谷は北総台地の峰で、温暖化で海水が二十m上がると、この辺で残っているのは鎌ケ谷だけなんですよね」  東横イン、マンション、総合病院…、屋上から見るこの街の風景も、大きく変わりつつある。
 下を見ると、小さな公園に、白いタイルが…。あれ〜、よく見ると、手前がニュージーランドの地図で、その向こうにあるのは千葉の地図の形をしている。鎌ケ谷の位置、それに、姉妹都市ワカタネの位置も示されている。  傾斜地を利用したこの小公園、何度も歩いたことがあったが、気づかなかった。今回、屋上に上って、初めて気づいた。磁石で確認すると、この地図、方向も正しく描かれている。
 移動して、南西方向の展望を楽しむ。  この方向には高いビルがほとんどなく、遠方まで見晴らしが良い。遠くの方に、薄く、高さ約三百mの、建設中の東京スカイツリーが確認できる。 「かなり薄くなりましたね。今朝はかなりはっきり見えたんですが…」
 さらに左へ移動していくと、幕張メッセのビル群。 「本当に天気がいいと、あのビルの奥に房総の山々まで見えるんですよね」 「富士山は?」 「こっちの方向ですね。十月の終わり頃になると、富士山見えるんですよね。十二月はほとんど毎日見えます。夕方が一番きれいですね」  そう、Kさんが、しみじみと言った。